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オフィスビルやデパートでの配送実態

オフィスビルやデパートでの配送実態

 大都市で90~120個、地方で60個。これ、何の数字でしょうか。実は、宅配便のドライバーが運ぶ荷物の個数です。午前中の3時間で配達するとなると、大都市では1個あたり約2分で配達しなければなりません。だから、とても忙しいのです。
 これほど忙しいのに、5回に1回は留守ということで、再配達は2割に上ります。そこで、留守でも荷物を受け取ることができるように、一戸建ての住宅では箱形の宅配ボックス、マンションではロッカーのような形式の宅配ボックスが、普及しつつあります。

 では、オフィスビルやデパートでは、どうなのでしょうか。勤務時間や営業時間中であれば留守ということはないので、住宅地よりも配達は簡単なのでしょうか。実は、オフィスビルやデパートも、それぞれ事情があって配達は大変であり、それなりに工夫もされています。

 東京駅前にある新丸ビルには、仕事やショッピングで、一日に約6万人が訪れます。そのために、約650台の貨物車が、宅配便、コピー用紙、文房具、食材などを運んでくるのです。つまり、100人の人が出入りすると1台の貨物車が必要ということになります。しかし、宅配業者や運送会社が、それぞれ個別に地下の駐車場から高層階まで配達で行き来すると、時間がかかり効率も悪くなります。そこで、大きなビルでは、地下の駐車場の横に荷さばき場を設け、各運送会社の荷物をまとめてから、一括して各階の届け先に配達しています。

 デパートでは、毎日何万人もの買い物客が持ち帰る商品の分だけ、毎日運び込まなければなりません。ですから、大きなデパートになると、一日約600台の貨物車がやってきます。しかも、開店時間前に商品を陳列する必要があるため、早いときは朝6時頃から入荷が始まります。このため、配送センターでは商品を売り場ごとにまとめておいて、デパートに到着後に直ちに陳列できるようにしています。開店時刻を境に、デパートにやってくるのは、貨物車の商品からお客様へと変わるのです。

 住宅への宅配便の配達だけでなく、オフィスビルやデパートへの配達も、大変な仕事に変わりはありません。そのため、国や自治体では、大きな建築物を対象に設計のガイドラインを作りながら、配達にやさしいビルづくりや都市づくりを進めているのです。


流通情報学部教授 苦瀬博仁
学部 = ロジスティクス管理論、物流インフラ論、3年ゼミ、4年ゼミ、卒業研究
大学院 = ロジスティクス管理特論