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国際観光学科教員によるエッセイ~日本文化のレッスン-陶芸にみる「Kawaii」文化の現在~

執筆者:東 美晴(国際観光学科教授)
※国際観光学科は2023年4月より国際文化ツーリズム学科に名称を変更します。(届出済)

私は「文化人類学」「グローバル化と文化」など、文化についての授業を担当しています。時には日本文化の話も致します。さて、日本文化についてです。九鬼周造の『「いき」の構造』、ルース?ベネディクトの『菊と刀』、イ?オリョンの『「縮み」志向の日本人』など、日本文化の特質は様々な人によって、多様な観点から論じられてきました。ここで注目するのは「Kawaii(カワイイ)」です。「Kawaii」も、今や世界的に認知されている日本文化の特質の一つです。その始まりを、自分が気に入ったものについては何でも「いとをかし」(現代語訳すると「イケテル」「カワイイ」など)と表現する『枕草子』とする人もいます。江戸期や大正期に作られた少女向けの小物や雑誌のイラストの中に、「Kawaii」文化を探す人います。つまり「Kawaii」文化は、それが感覚的に「カワイイ」か「カワイクナイ」かの二分法の美意識であるとともに、「色鮮やか、小さい、はかない、やわらかい」など、「Kawaii」とされる対象が持つ要素についての表現でもあることになります。

現代にも「kawaii」は溢れています。女性アイドルたちの「Kawaii」やキャラクターやデザインの「Kawaii」、若者ことばとしての「キモカワイイ」「エロカワイイ」「アザトカワイイ」など、日本の日常の中にたくさん見つけることができるでしょう。

ところで、私はよく茨城県の笠間へ行きます。時々、栃木県の益子へも行きます。どちらも陶芸の町です。ですから、主な目的はいくつかのギャラリーに陶器を見に行くことです。

 

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 で、どんな陶器を購入したかというと、以上のようになります。今さらながら、私は「Kawaii」探しをしていたことに気づかされます。現在、笠間、益子を拠点に作陶しておられる作家さんは大勢おられます。それぞれが、自分の世界観を作品に込める努力を重ねています。その中でも、近年は「Kawaii」系の作品を多く作られる方も増えています。これも一つの「Kawaii」日本文化の表出なのだなと感じています。

 さて、陶芸はアートの一つです。なぜ陶芸がアートかというと、工業としての窯業で作られた皿や茶碗は同じ規格、同じ品質の製品を幾つも供給することに主眼が置かれます。ですから、歪みや色むらのあるものは商品にならない不良品として扱われます。一方、アートとして作られるモノは作品です。ここでの歪みや色むらもその作品のもつ味になります。また、一つひとつ手作業で作られるものですから、同じ絵柄のものを創るかどうかは作家の気分しだいです。もし作家が同じ絵柄のものを創ったとしても、手描きである以上、微妙な差異が生じます。つまり、一つひとつがオリジナルであること、これがアート作品の特質になります。アートと言われると何だか難しいものだと思われるかもしれませんが、素直に、面白いとかカワイイとか、素敵だとかでいいのです。楽しんで鑑賞すればよいのです。また、ここで取り上げた、皿や茶碗も日常で使うことを前提に作られ生活雑器ですから、高価なものではありません。

最後に、笠間、益子ともに、陶芸ファンが多く訪れる町です。作家さんたちは、ただ伝統的なものを作り続けているだけではなく、作家さんの一人ひとりが自分の創りたいものを創り、「Kawaii」も含めた自分の美意識をそこに表現しています。このような町の人々の営みが、町を面白くしていく力になっているのだろうと思います。